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風邪ひき・高熱で出勤 -間違った看護美学ー

投稿日:2007/09/25

夏場に風邪をひいている人もちょろちょろ見かけますが、もうあっという間に秋。気がつけば冬・・・早いものです。インフルエンザも毎年の恐怖で、今年は大流行するのか否か。また、鳥インフルエンザやSARS、他にもどんな新た疾患が迫ってくるのか安心できませんね。ということで、現場でよくみられるお話をしてみたいと思います。

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海外ではどのような風潮が主流なのかはわからないが、少なくとも日本では風邪をひいて高熱が出ても出勤すれば

※頑張っている

という評価が少なからずある。そう評価されないにしても、休むことで評価が下がるという事実が気になって休めない者も多い。

明らかに風邪をひいて鼻水を出し、咳をしているのにそれでも無理をして出勤する。

この傾向は絶対に良いとはいえない。しかし、周囲の人間が“風邪をひいて休む”ことを最良の判断と評価しないのであれば、多少無理をしても出勤してしまう気持ちもわからないでもない。

だが、よく考えてほしい。


※病院とは、精神・身体的に病んでいる者が集まるところであり、そこに医療従事者が新たな疾患を持ち込むことの有害性がどれほどあるのか


特に、術後や乳幼児・高齢者などではさらにそのリスクは高まる。間接的には死に追いやることもあることを理解するべきである。

そのような身体的状態でも出勤してしまう要因として

1、休むことで有給休暇が減ってしまう
2、給与に影響する
3、まわりの体裁がきになる
4、仕事が忙しいのに迷惑をかけないかと罪悪感を感じる。

だいたいこのありではないだろうか。

有給休暇や給与面が気になるのはわかるが、明らかに咳が激しく発熱があり、動きも緩慢になっているのであれば、むしろ

「足を引っ張っている」

と言え、当事者はそれを重々自覚するべきである。

無理をして仕事をすることは、患者に病気を罹患させてしまうリスクと合わせて考えると、明らかに“非効率的で”あり、安静を保ってしっかり回復を促進させ、早く復帰するほうがよほど効率的である。
管理者は、フラフラになってまで休まず働く者に対して「悪い」とはいわないまでも「良いとはいえない」という評価をしなければならず、さらに当事者に対してそのことを教育する義務がある。



当事者は

「迷惑がかかる」

という間違った解釈のもと出勤しているのであれば、これからは積極的に休みを取るべきである。本当に迷惑なのは、

※咳・発熱があるまま、同じスタッフや患者へ罹患させるという“爆弾”を背負ったまま業務をし続けることである。

まず、そのような状況になる前に日頃の自己管理をしっかりすることは医療従事者としての義務。これがしっかりできていない者は論外である。自己管理はいい加減、そのうえ仕事はふらふらになっても働く。これは、医療従事者としては無責任極まりなく、自分の都合を看護の美学に置き換えて、合理化しているにすぎない。


もちろん、程度やTPOに合わせた判断が必要であるが、明らかにそうである場合は、休暇を取るべきである。

もう一度いう


※間違った看護美学は、間接的には患者を死に至らしめることもある


“直接的”との違いは、死亡の原因が曖昧になることと、それに絡んで人を殺してしまったという自覚が湧かないという部分であり、ある意味たちが悪い。
言うまでもないが、直接であれ間接であれ人が死ぬことには変わりない。死なないとしても、罹患が原因で不必要な苦痛を与えることになる。罹患しなかったとしても、そのリスクに晒したという看護者の倫理観は問わねばならない。


看護者は、今回のケースに限らず日常から考えても直接的な看護には誠心誠意尽くすことがあっても、間接的な行動に関しては相当無関心である。

この発想で論じていくと、環境問題や政治問題なども無視できなくなってくるのだが、イシュー及び議論の収集がつかなくなるので少なくとも病院内の行動だけは幅広い視点で見てほしいものである。


最後に、

※マスクをしているから

と思ったあなたは、もう一度微生物学を学んだ上でその発想を退けるべきである。











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